花の色は
十日前の大雪の時に買ったトルコ桔梗の、緑色の蕾がだんだん白く、そしてほんのりピンク色になって、ほころび始めている。
トルコ桔梗は気まぐれで、蕾のまま枯れてしまうこともあれば、綺麗に色づかないこともあるらしい。
そんな気まぐれに振り回されてみることが少し嬉しかったりもする。
咲くだろうか、咲かないだろうか、明日はもっと色が変わっているだろうか。
小野小町は桜の花が色褪せたことに自分の年齢を重ねて嘆いていたけれど、私はほころびかけのトルコ桔梗に期待しつつ、こんな風に長い時間花を見つめてしまうだなんて、ずいぶん年をとったもんだな、と考えている。
「若い子が、お花をもらって“嬉しい~”っていうのはね、社交辞令か、“花を持っている自分が好きなだけ”なの。花が本当に必要になるのはね、年をとって自分に華がなくなってからなのよ」
高校生の頃に聞いたあの言葉に、なんという真実!と苦笑いして。