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90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

優るあらめや

今日は、山友達のおじさんに連れられて田浦梅林~二子山へ。
赤い電車京浜急行に乗って安針塚駅で下りた。

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塚山公園からの景色。目の前の海は東京湾で、眼下に横須賀の海上自衛隊護衛艦が停泊している。
たくさんの船が忙しなく行き交う、この紺色の海を見ていると、ついつい横浜市歌を歌いたくなる。これは横須賀の海なのに。
昔、母が大桟橋から海を眺めながら、懐かしげに、そしてちょっと誇らしげに言っていた。
「あたしにとって海っていうのは、この紺色をした横浜の海なのよね」
それが印象に残っているからつい、こんな海を見るとあの人のハマっ子の誇りを思い出すのだ。

わが日の本は島國よ 朝日輝ふ海に
連り峙つ島々なれば あらゆる國より舟こそ通へ
されば港の数多かれど 此横濱に優るあらめや
むかし思へば苫屋の烟 ちらりほらりと立てりし處
今は百舟百千舟 泊る處ぞ見よや
果なく榮えて行くらん御代を 飾る寶も入り來る港

作詞は森鴎外
この歌を歌うときのハマっ子たちは皆、郷土愛と懐かしさと誇らしさで顔を輝かせているように見える。
「此横濱に優るあらめや」か。

ところで、すっかり失念していたけれど、「安針塚」というからには当然、三浦按針の碑がある。

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ああ、三浦按針て、あの!ウィリアム・アダムス!
こうして、慰霊塔なんかをみると、歴史の教科書に出てきたあの人は本当にいたのか、としみじみ思う。
そう言えば、昔、初めて浦賀行きの京浜急行に乗った時も、浦賀ってあの浦賀!?ペリーの?本当にペリー来たんだ!!と驚いたし、下田で黒船型遊覧船に乗って、船内アナウンスで「ペリー提督はこの辺りに停泊しました」と言われたときも「ペリーったら、実在したのね」と感動した。

慰霊塔の近くには地元のボランティアのおじいさんがいて、「良かったら案内しましょうか?三浦按針をご存知ですか?」と話しかけてくれる。
いや、ご存じですかって・・・と面食らいつつも「歴史で習いました」と答えたら「え!?どこの学校ですか?」と驚かれるので、こちらが更に驚く。
どこの学校も何も、ザビエル、ペリー、三浦按針、シーボルトくらい歴史の授業で普通に習うでしょう?と思っていたら、どうやら最近の学校教育ではそんな事まで教えないらしい。えええ?そうなの?じゃあ、今の子って何を習ってるの!?

驚いていたら、おじいさんは「そうなんですよ」と残念そうに言う。「だからね。我々はちゃんと教科書に載せてくれって訴えているんですよ。それからNHKにもね、大河で三浦按針を取り扱ってくれって申し立てしているんですよね」
・・・そういう活動してる人って本当にいたんだな、と歴史上の人物が実在していた事と同じくらい、しみじみ思う。
なんという大いなる郷土愛。
NHK朝ドラの主人公が初の外国人に決まったらしいけど、三浦按針が大河になったら、大河の主人公も初の外国人になるんだろうな。

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田浦の梅林の梅は先週がピークだったようでそろそろ終わりかけ。
ここの梅は横須賀ブランド「横須賀梅わいん」になるそうだ。梅の実を採ってはいけないと告げる看板さえ、なんだか郷土愛に溢れて誇らしげに立っているかのように見える。

「地元」と呼べる場所があるような、ないような、微妙な状態でいるとその真っ直ぐで揺るぎない愛情や誇りを持てることが少し羨ましい。
そんな羨望を胸に、聞きかじりの横浜市歌を口づさんで歩いた。
わが日の本は島國よ。