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90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

山へ行くつもりじゃなかった

Three Cheers for our side ~海へ行くつもりじゃなかった

Three Cheers for our side ~海へ行くつもりじゃなかった

このGWは久々に友人Tと星を見に出かけた。星を見ると言ったって、今回の目的地はナントカで日本一の星見スポットと認定されたらしい、長野県の阿智村という所で、ロープウェイで行ける山の上でイベント的な星空観賞会をサクっとやって帰るとの事だ。

【公式サイト】スター★ビレッジ 阿智〜日本一の星空の村〜

当然トイレもあるだろうし、それなりに施設も充実していることであろう、いつもみたいに人里離れた山奥じゃない。何より雨予報だ。大して星も見ずに帰ってくることだろう。
そうタカをくくって、寝袋はおろかダウンジャケットもネックウォーマーも手袋も持たず、雨具と毛布、それに薄手のメリノウールを着込んで出かけた。なんたって5月だ。


途中、ワイナリーでカパカパとワインを試飲したり(私だけ)、元善光寺なるお寺に立ち寄ったり、ムキになって蕎麦屋を探したりしながらロープウェイ乗り場へ。
駐車場の時点で、うん、これは寒さが予想されるな、と持ってきたパーカーと雨具を着込んで毛布を持って。

標高1600mまでがんがん上っていくロープウェイの窓から入ってくる冷気。
ヤバい、結構寒いんじゃないか、これは。

この建物前の芝生にシートなど敷いてイベント開催時刻を待つワケですが、まわりの方々はダウンジャケット着たり、テントや寝袋を持参していたりする。吹き付ける強風。パラつく雨。

我々は久々すぎて星を見るという行為を、山を、ナメていたのではないか。
5月だろうが、イベント地だろうが、サクっと終わる予想だろうが何だろうが、星を見に山に行こうと思ったら常に寝袋やスキーウェアなどという最大装備が必要だったのでないか。
ガタガタ震えながら何度もそう口にし合った。「まあ、それでも何も知らない人より少しは装備してきたけどね」などと強がりつつ。
イベント中に雨脚が強まり、屋内に避難して係の人から星の説明を受けて下山。
いやいやいや、今後は山をナメたらいけないよね。

その翌日。朝食を食べ終わって、さて、どこに行くかと寺でもらった観光パンフレットを眺めていたとき、ふと千畳敷カールの写真が目に止まった。
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ああ、ここ、よくクラブツーリズムなんかのバスツアーで紹介されてるんだよね。ちょっと憧れだったんだー、いいなあ、と口にすると、「すぐ近くだから行ってみるか」とのこと。
ええー?本当に行けるの?GWだから激混みじゃないかしら。でも嬉しいー!高原のお散歩できちゃうんだ。
うきうき浮かれながら菅の台バスセンターという所で車を降りる。ここからマイカー規制だからバスでしか行けないらしい。
バスセンターのおじさんが「山の上は強風です」というので、とりあえず持っているありったけの装備はしていく。

こんな山道をバスで上るうちに、我々はまたしても顔をひきつらせながら確認し合うのである。
「これ、ヤバいぞ。相当寒いぞ、スキーウェアや寝袋は常に車に積んでおくべきだったな」
「我々は、ついうっかり山に入ってしまう傾向があるんだね。常に備えておかないといけなかったね…」

バスに揺られること30分。標高1600mのロープウェイ乗り口から13分で一気に標高2600mまで上る。
そして目を疑うのだ。

な!!な!!なんじゃこりゃーーーー!!!


ご、ご、5月なうですよ。大相撲なんか夏場所が始まるんだぞ。それなのに標高2600mの神々の山嶺にはまだ春すら来ていないのか!
まさか5月に、雪に足をとられて息を切らし、穴ぼこにハマって尻もちをつくだなんて!さっきまで「高原のお散歩」とか浮かれていた自分を張り倒してやりたい。
雪がとければお散歩コースになるのであろう通路の入口には物々しく書かれている。「ここから先、冬山完全装備で!(アイゼン、ピッケル等)」
この景色を見れば当然だ。

これが正しい装備。
ニューバランスリーボックなんかお呼びじゃないのだ。

気温は5度。夏、もう一度ここへきてこのホテルに泊まって星を見よう、とリベンジを誓って下山して光前寺やら天竜峡やら。うららか。


遠くに千畳敷カールが見える。

ねえ、私たち、さっきまであそこで寒さに震えてたんだよね。何の努力もしないで、簡単に標高2600mまで行って帰って来れちゃうなんて、なんだかすごく不思議だね。
…と山を振り返って、ぼそぼそ話し合う。

行き当たりばったりでふらっとあんな山の上まで簡単に行けちゃうからこそ、ボーイスカウトみたいに「備えよ常に」だね。これからは寝袋とダウンジャケットはいつも持ってくるよ。だって、山へ行くつもりじゃなかったのについふらっと行ってしまったりするんだもの。
あーあ、そんなことができるなんて、なんて贅沢!なんて幸せ!