90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

夢の国技~初相撲観戦①~

大学時代の友人つるちゃんは昔から相撲好きだった。「相撲=デブが裸でぶつかり合う、これが国技だなんて」と思っていた当時の私は「なんと酔狂な」と呆れていたものだが、相撲に興味が出始めた途端、私の中でつるちゃんが師匠に変わった。
9月に久々につるちゃんと会った折、「最近相撲好きなの。いろいろ教えてね」と言ったら、つるちゃんは快く頷き「初場所誘うよ!」と言ってくれた。そして11月、そんなつるちゃんからメールが来た。
初場所のチケットの先先行予約が始まるんだけど行く?」
行く行く!!もう発売なのか、そして先先行があるのか。驚きつつ自分の都合の良い日を告げると「その中だったら、中日がいいね」とプロっぽい発言を残してつるちゃんはチケット予約に挑んでくれた。チュウニチじゃない。ナカビだ。そうか、ナカビはやはり大事な日なのか。

しかし先先行は惜しくも敗れ去ったらしい。そんなに相撲のチケットって大人気なのか、と驚く。それからしばらく経って「まめ、なんとかC席ならとれたよ。本当は初めてならA席あたりで見せてあげたかったんだけどごめんね」と連絡が来た。
返す返すもプロっぽい発言だぜ。初心者はA席あたりがおすすめなのか。そして相撲のチケットというのは日本シリーズのチケット並にとりづらいものなのか。もう行けるならなんでもいい!

チケットを受け取ったのは12月、大学時代の友人たちと忘年会をした折だ。ウキウキとお金の受け渡しをし、「私の携帯待受は栃煌山なのよー」「おおーすごいー」と浮かれるつるちゃんと私のことを周りの友人たちは「なんと酔狂な」という目で見ていた。

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こちらがつるちゃんのお気に入りの栃煌山、通称シャケ。理由は解説の北の富士勝昭氏が簡単に土俵外に運ばれる栃煌山に「シャケじゃないんだから」と苦言を呈したことによる。

ドキドキの観戦前日、つるちゃんからメールがくる。
「まめ、明日は何時に来る?私たちは朝10時半には会場入りするけど無理強いはしない。でもできれば午前中から来て」
おおおお、相撲が朝からやっているのは知っていたがやはりそんな時間から!私も気合を入れねば!と午前中入りを目指したのだが、何分初めて行く国技館。電車を乗り間違えて反対方向に。どうもJRって苦手だよ。そして東京のあっち側って全く土地勘なくてわからないよ。
おろおろしながら両国駅に着くとホームに相撲取りらしき人がいるので「よし、間違いないな」と安堵する。

改札を出ればどどーんと横綱優勝額が架けられているので更に「ここだわ。ここ」と確信を持つ。

見えてくる、はためくのぼり、すれ違う外国人観光客の群れ。「ついに来た!」と実感を深める。
それにしても恐ろしい場所だよ。
チケットを受付してくれる人も中の警備員もどれもこれもが全員元相撲取りらしき人達なんだもの。あんな警備員相手に暴れられるわけないわ。

入り口にはこんなパネルもある。ひゃー、これが国技館かー、と思いながらうろうろと席に向かうと、既に観戦中のつるちゃんの隣には彼女の相撲友達まるちゃんもいた。
驚いたことに二人は昨日もここに来ていたらしい。そして明日もここに来るらしい。な、なんすか、あなた方は。記者ですか、タニマチですか…。慄く私に彼女たちはケラケラと笑って「いやあ、案内しなきゃいけない人がいたり、行けなくなった人からチケット譲られたりいろいろあって、場所中は結構通いつめてるのよー」と言う。絶句。
これはもうただの相撲ファンではない。相撲案内人だ。プロだ。そんなプロ達に「お腹がすいた」と訴えるとすぐさま「じゃあ、館内を案内がてらちゃんこでも食べに行く?」と連れだしてくれる。

ここが売店。手形色紙も売ってるの。相撲カフェや力士とツーショットが撮れるプリクラもあるの。これはひよの山グッズ。この卓上カレンダーはおすすめよ。チケット発売日や場所の日程が全部書いてあるからね。缶ビールは1階はキリンのみ、2階にはアサヒも売ってる、とプロの説明は淀みなく続く。
ちゃんこを売っているのは地下の大広間で、普段は記者会見をしている場所らしい。ずらっと続く列が会計に近づくと「あ、250円を用意してね」とすかさず有難い助言。あなた方、もう案内人としてお金取った方がいいよ、ホント。

これが250円の玉ノ井部屋特製ちゃんこ。今日は中華味。食べながらも解説者たちはいろいろと教えてくれる。
曰く「相撲界は鳥推しなのよー、手をつかないから」との事。鳥推し?手をつかない?…はてなをいっぱい頭に浮かべていると「四ツ足の動物は手をついているでしょ?相撲は手をついたら負けだから、ゲン担ぎで鳥なの。ちゃんこも基本は鳥ベース」とフォローが入る。…なるほど奥が深い。
いやあ、温まったね、この後は入り待ちに行くからコートを取りに席に戻ろう、と言われるがままに戻ろうとする道すがら、出会うのは大島親方。元旭天鵬

ほ!本物!!!本物の旭天鵬!デカい!すごい!と驚く私をプロたちは「握手してもらいな」と優しく送り出してくれる。したとも、握手!デカい手だった。ものすごくトキめいた。
それから入り待ちへ。あっち側が見やすいよなどと腕を引かれるままに。
阿夢露
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嘉風
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そして元琴欧洲鳴戸親方。超イケメン
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写真がブレブレなのは許して下さいね。なにせ初めて間近で見る相撲取りと言うのは予想以上に動きが早い上に予想以上にデカくてすぐにカメラに入りきらなくなるのです。
つるちゃん、まるちゃんのプロ二人は入り口にチラと相撲取りが見えるたびに「◯◯関来た!」と教えてくれ、周りの入り待ちの人たちに「栃煌山関はもう来ましたか」と問いかけられれば「今日まだ見てないんですけど煌山関はいつも入りが早いのでもしかしたらもう…」などと懇切丁寧に教え「◯◯関頑張って!」と声をかけ、更には「あら!高安関のお母さん!」との衝撃発言。
待って!!待って、待って。お母さんって一般人だから。お母さんがわかるって普通じゃないから。ど、どういうことなのあなた達。「高安関のお母さんと撮った写真もあるよ。お母さんはフィリピン人なんだよー」と得意げなまるちゃん。

寒さと衝撃に震える私に二人のプロは告げました。「あ!幕下土俵入りがもうすぐ始まっちゃう!まめ、走るよ!!」
この時点で私、これはアレに似ているんだと悟りました。アレ。JRでもう少し先に行った所にある夢の国、ネズミーランド
ファストパスとろ!」「パレード始まるから!」「あ、ミッキーいた!!写真撮ろう!」
あのノリだ!!でも超楽しい!
ネズミーランドは苦手だけど、この夢の国で振り回されるのはものすごく楽しくて嬉しくて、大はしゃぎ。
国技館万歳!・・・という訳で観戦記はまだ続きます・・・。