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90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

すてきなひとりぼっち

だれも知らない道を通って
だれも知らない野原にくれば
太陽だけがおれの友だち
そうだおれにはおれしかいない
おれはすてきなひとりぼっち
           「すてきなひとりぼっち」 谷川俊太郎

去年は英語の勉強を始めたりして、山歩きの回数がずいぶん減った。最後に行ったのは山友達のおじいさんに誘われた西沢渓谷。

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さわさわと水の流れる音を聞きながら森の中を歩くのが楽しくて「ああ、そうだ、山を歩きたいな」と思った。「一人で山を歩きたいな」と。
単独登山は危険だなんてこともよく言われるけれど、私は一人で山を歩くのが好き。風の音と鳥の声と自分の足音しか聞こえない山道を歩くとき、本当に心が晴れ晴れとして、あまりの自由さに心が躍る。
家にいたってラジオも換気扇も消せば家の中はシンとしているのに、それではなんだかダメで、山道の木漏れ日の中を歩きたい。
だから山ガールが多くいるような、みんなが得意げに「どこどこ山に行きました!」と言うような有名で素晴らしい山よりも、地味で人もまばらな低山がいい。

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仏果山はそんな私のお気に入りコースだ。
地味で人がまばらで、でも秋の紅葉は美しい。1000メートルに満たない小さな山々を3つ4つと縦走するのだけど、痩せ尾根からの景色はびっくりするほど高度感がある。片手に丹沢の山々、奥に南アルプス、もう片手には関東平野、そして振り向けば湘南の海岸線と遙かに大島が見える。何より、このコースは宮ヶ瀬ダムから始めることもできるし、ダムで終えることもできる。

今回はダムを目指すルートを取ることにした。駅から1時間弱バスに揺られて土山峠で降りる。久々の一人の山。肺と頭が痛くなるくらい空気が冷たい。

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右手の関東平野スカイツリーが鉛筆みたいに立っているのが見える。写真では見えないと思うけれど、奥の方に雲と見間違うくらいにうっすらと、あれは赤城の峰々かしら。雪を被った山嶺も見える。

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左手には丹沢の山々。奥で、山頂に雪を被っているのが神奈川最高峰、蛭ヶ岳。写真では切れているけれど、右奥には南アルプス。眼下にはダム湖
ああ、やっぱり来てよかった。こうして一人で歩きたかった。なんて静かでなんて長閑でなんて自由、なんてすてきなひとりぼっち。

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仏果山と高取山の頂上にはこんな展望台があって、360度の景色を見渡せる。この日はどういうわけかタウンシューズに脛丸出しの半ズボンという薄着の外国人男性2人組がいた。さかんに「ハラショー!ハラショー!」と言っていたからきっとロシア人だろうと推測。半ズボンだなんてやはり寒さに強いのね。

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ダム湖を左手に見ながら、あの宮ヶ瀬ダムまで下りていくんだ。

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木漏れ日の中を往く山道から、日を遮るもののないダム天端に出ると目が眩みそうになる。右手に見えるエレベーター(無料)でダム堤体内を通ってダム下におりる。ダムを見ながら下におりることのできるインクラインという有料のエレベーターのようなものもあるのだけれど、メンテナンス工事中だった。

宮ヶ瀬ダムはなぜ天端側水路なの? | 建設・建築・土木資材、技術情報-建設MiL

宮ヶ瀬ダムの魅力については、このダムライターさんの記事の中に詳しく書いてある。そうか、黒部と同じくらいデカいのか。

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下のは宮ヶ瀬ダムのすぐ下流にある石小屋ダム。

4時間ばかりのんびりと山を歩いておにぎりとみかんを食べて、宮ヶ瀬ダムをぶらぶらとして、人生初のダムカードももらって、幸運にも待ち時間なくすぐに訪れたバスに乗りこんで、バスの窓越しのお日様に目を細めながら帰ってきた。

おかげで今日は気持ちがすっきり。まるで深呼吸をして、新しく冷たく新鮮な空気を吸い込んだ時のように。
それはすてきなひとりぼっち。

すてきなひとりぼっち

すてきなひとりぼっち