90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

歩き箱根駅伝1区①

先日書いた通りの理由で、年内に5回にわけて箱根駅伝のそれぞれの区間を歩いてみようと決めたので、こないだの3連休、まずは1区を歩くことにした。
どうせ歩くなら、それはもちろん朝8時に心の中で号砲を打ち鳴らして読売新聞社前をスタートしたい。おかげで、会社に行くよりもずっと早い電車に乗って大手町へ。
まだ工事中の読売新聞社東京本社前。今年の10月末に完成するらしい。お正月の箱根駅伝の時には工事中の看板もはずれて、ピカピカの新しい顔で選手を送り出すんだろうか。

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反対側を見ると、一気に10区、ゴール地点の風景に見えてくる。あのガード下から、最後のランナーが必死にスパートをかけて走ってくるんだ。

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1キロ地点馬場先門。選手はここを大体1分47秒で走り抜けるらしい。悪いけど、私は1キロ15分よ。

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4キロを過ぎて右手に東京タワーが見えてきて、頭の中に「右手に東京タワーを眺めながら選手たちが駆け抜けていきます」という文句が日本テレアナウンサーの声で聞こえてくる。きっとテレビ塔としての役割をスカイツリーに譲ったとか何とかの豆知識も教えてくれるんだろう。

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1キロを15分のペースで歩いて9時15分、5キロ地点の田町駅前で1回休憩。ファミマの外のテラス席でチョコレートを食べながら、箱根駅伝の選手だったら、今頃もうとっくに1区を走り終えて、2区の選手がごぼう抜きを開始しているだろう、モグスはまたお腹が痛くなりだす頃だろう、と考える。前の会社の同僚で箱根駅伝マニアのさおりちゃんはいつもお正月明けに「モグスがまたお腹痛くなってさ!」と憤っていた。

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7キロの品川駅を過ぎて、八ツ山橋入り口。キツい。大手町から品川はこんなに遠かったのか。7キロというのはこんなにも疲れる距離か。山道を歩くんだったらこれくらい全然平気なのに、靴が違うから?アスファルトだから?一足ごとに足の付け根も膝も足の裏にも衝撃が響く。まるで魔女から人間の足をもらったばかりの人魚姫みたい。

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伸びていく京急の線路を眺めながら歩いていると、「選手たちはしばらく京浜急行に添って走っていきます」という日テレアナの声がまた脳内に響いたような気がするけれど、辛くて苦しくてドトールで休憩。ガムシロップをきかせたカフェラテを飲んだら少し元気になった。やはり糖分は大事だな。

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やっと見えた東大井の歩道橋。ここが10キロ地点。到着は10時55分。歩き始めて2時間55分。箱根の選手たちはスタートから30分でここを駆け抜けていくらしい。電車かよ!
比べ物にもならないというのに、こうして逐一駅伝の選手のタイムを気にしているからこんなにも疲れるんだろうか。だとしたなら、常に相手と自分のタイムとを気にしながら速さを競う駅伝はどれほど精神的に消耗し、肉体的に疲弊することだろう。そりゃあモグスもお腹痛くなるはずだわ。そんなことに初めて気づいた。

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キツくて、何やってるんだろう、何でこんなことしてるの、と思いながらぼーっと歩いていたら、驚くべきものが目の端に入った。道路に面して立つ家の郵便受けの脇にカミーノ・デ・サンティアゴの象徴であるホタテ貝が貼り付けてあったのだ。

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カミーノについての情報をまとめたサイト「スパニッシュタイム&スパニッシュマパス」の冒頭には、登山家マレーの言葉が書かれている。

その真実とは、はっきり関わってゆく決心をした瞬間、神の摂理も働きだすと言うことだ。助けとなる、起こるはずの無かった出来事や出会いや物質的援助が、こちらにとって都合の良いように出てくるが、それはそのような形で与えられるとは夢にも思わなかったものだ。

ああ、動き出した。ここからもう、カミーノにつながっている。
そう思った。