90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

Cool Japan

・・・Cool Japanってなんだよ、さっむー!・・・と思わなくもないけど。
クールジャパン機構

オプションでつけたメコン川ナイトクルーズのガイド、ブンさんによるとベトナム人の乗るバイクの8割は日本製だそうだ。
ブンさんは言う。「イチバンホンダ。ニバンヤマハね。サンバンカワサキ
他の人の話では3番はスズキだったりするが、ともかく1番がホンダで2番がヤマハなのは不動らしい。とは言え、私が個人的に見た限りではホンダオンリーであった。おそらく1番と2番の間に物凄い数の違いがあるんだろう。3番なんてどうでもよくなるほどに。

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平均的な月収は3万円で日本製のバイクは約22万円。中国製なら5万円。それでもみんな必死にお金を貯めて日本製のバイクを買うんだそうだ。何故なら高くても安全で壊れないから。そして20年でも30年でも大切に乗るらしい。
異国の地でホンダのバイクに囲まれながらそんな話を聞いたら、なんとなく涙が出そうになってしまった。
今の日本において、20年も30年も大事にしようと物を買う人がそんなにいるだろうか。ローンを組んで車を買う時でさえ、30年乗ろうと思うだろうか。

いまや落ち目らしいけれど、よく言われる「日本は技術大国」というのは本当だったんだなあと、街に溢れるホンダや、ホテルの部屋のパナソニック製の冷蔵庫、TOTO製のトイレや洗面所をしみじみ眺めて実感していた矢先のこと。

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ベンタイン市場前。奥に見えるはでっかいキャノンとカシオと三菱の看板

さて、ベトナム到着時は早朝からフォーを食べて昼もフォー食べて夜はブンボーを食べて香草の香りにテンションがあがって、もう米麺だけでずっと過ごせる!・・・と思っていたけれど、3日もたてば「朝ごはんくらい普通にパンとコーヒーにしたいな」という気持ちになってくるものです。
それでベトナムVIE DE FRANCEという感じの「Tous les jours」というベーカリーに入る。これ実は韓国企業らしくマレーシアやインドネシア等にも出店しているそうです。

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ふらふらと入ったその店で、不意に「日本と同じ」クリームパンに出くわしてひどく動揺する。動揺のあまり購入前に写真を撮ろうとして店員さんに怒られる。
このブログも始めてもうすぐ2年になるが、思えば一番最初はクリームパンについて毎日書き連ねていたものだった。そんなクリームパンによもや越南の地で出会おうとはね。
フランス語の名前のついた韓国系のお店で日本式のクリームパンとカフェアメリカーノを頂きながら、窓の外のホーチミンの景色を眺めるこの混沌ぶり。

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カスタードクリームは特にカスタードの味もせず、ただ甘いだけの何か、という感じ。玉子っぽさは韓国人や東南アジアに不人気なのだろうか。お値段約60円。
しかし、それにしても。

このクリームパン。
私も伊達や酔狂で100エントリーに渡ってクリームパンについて書き続けたわけではない。それなりに勉強もした。いや、wiki読んだだけだけど。
それによると、クリームパンとは「シュークリームの美味しさに感銘を受けた中村屋の創業者相馬愛蔵が1904年(明治37年)にそれをヒントにクリームパンの製造・販売を始めたのが元祖である」
そして「クリームパンにグローブ型が多いのは詰め物をしたパンは焼く時に中身に空洞が出来やすい為、空気を抜く為にグローブ型の切れ込みを入れたとする説と切れ込みから中身が判る様にする為とする説がある」とのことである。

つまり、クリームパンの存在は日本独自のもので、おまけにあの形こそがクリームパンであるという認識も日本独自のものであるはずだ。
そりゃもちろん、世界中に似たような食べ物は多々あるけれど、あの形!!
植民地時代に伝播したものであると言われれば、ぐうの音も出ないが、やはり韓国人にとっても「パン屋にはクリームパンがあり、クリームパンとはグローブ型」であるのだろうか。
そしてそれが今や韓国企業によって、世界中に広められているのであろうか。このベーカリー、アメリカにもあるらしい。

バイクの量には驚いたけど、ホンダがもてはやされてることにはそんなに驚かない。パナソニックの冷蔵庫やTOTOの洗面所には「ああ、日本企業、噂通り頑張ってるんだな」としか思わなかった。
しかし、クリームパンには驚いたぜ。ああ、驚いた!
日本発の技術がこんなところにまで!