90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

ゆとりの思い出

GW明け、会社で聞いた最初のニュースは「もう新入社員が一人辞めたらしいよ」という話だった。そうか、もうか。
友人たちの話にもちらほらと「ゆとりヤバすぎ、新入社員宇宙人すぎ」というネタが出まわり始める今日この頃。

私が「ゆとり世代とはこの事か!」と初めて衝撃を受けたのは、かつての職場のアルバイトさんに「これ、穴開けてファイリングしておいてもらえる?」と書類を渡して席を外した時だ。
戻ってきたら、辺り一面に穴がいくつもいくつもあけられた書類が散乱していた。
ど!!!!どうしたの!!!何があったの!?
目を見開いて聞くと、彼女は困った顔で言った。
「これ(穴あけパンチ)の使い方、習ったことなくて・・・」
・・・確かに。うん、確かにそうだね。学校やご家庭で穴あけパンチの使い方って特に教えないよね。
驚きすぎて、逆に感心してしまい、「ゆとり世代ってすごいね!」と同僚に言ったら、彼も言った。
「こないださ、新人に“看板出してきて”って頼んだら、帰ってこねえんだよ。おかしいなと思って外見たら、アイツ、看板の横にずっと立っててさあ。やべえ、“看板出して戻ってきて”ってコマンド出さねえとアイツ、戻ってこれねえんじゃねえか、と思ってさ。面白いから放置しといた」
すごい!看板を出してその横に立ちつくす。なかなかできることではない。なんという忠誠心。

あれからいろんなゆとりさんたちを見てきたが、傾向として多いのが「質問に対して正確に答えることが難しい」人たちだ。
例えば「クリームパンは売り切れですか?」と聞かれると一瞬固まった後に「メロンパンは5時に焼きあがります」と答えるような。
多分頭の中で、何かを必死に考えて深読みしすぎて空回りしているのだと思う。いいのよ?考え過ぎないで、売切れなら売切れって言ってくれれば。

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GW明け、ゆとりを持って早めに出勤し、駅前のカフェ・ド・クリエに寄ったらクリームパンがあった。
ホワイトクリームパンという名の、そのパンは、まるで焼く前のピザみたいにぐにゃっと柔らかく、ちぎるとむっちりとびる。なんだこれ、なんだこれ。こういうの、何かあったな・・・と考えていたらゆとりエピソードを思い出した。

以前、白いたい焼きが流行って、あちこちに突如、白いたい焼き屋が出現した事があった。ある寒い日に「こんな日はたい焼きだろう」と思ってその店に並んだ所、若いお兄ちゃんがバットからたい焼きを取り出してお客さんに渡していた。前に並んでいたおばさんが「え?ここで焼いてるんじゃないの?」と驚いて聞いた所、お兄ちゃんが自信満々に言ったのだ。
「これは冷めてもおいしいたい焼きです」
おばさんも私も、呆然としたまま、その冷たくて白いたい焼きを受け取った。
聞きたかったのはそんな事じゃない、ここで焼いているのか否かだった。
欲しかったのは冷たいたい焼きじゃない。こんな寒い日には、ゆとりじゃなくて温もりが欲しかった・・・。

カフェドクリエ ホワイトクリームパン 
パン:白いたい焼きみたいな感じ。むちむち。伸びる。
クリーム:生地のせいか粘りを感じる。
☆☆

あのトラウマのせいか、どうもこういうパン、ちょっと苦手なのよね。