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90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

サッポロ一番にうってつけの日

ごはん

土曜は同窓会があったので、夜はどうせ豪華ごはんなんだから、昼間はラーメンでいいや、とサッポロ一番を作った。まあ、作ったと言う程のものじゃないけど。

今の時代、生麺に近づけた!とかなんとか言って、高級インスタントラーメンが世を賑わせたりしているけれど、別にインスタントラーメンに「本物っぽさ」なんて求めてないんだよなあ。サッポロ一番サッポロ一番という、一つの確立した食べ物なのだ。ステイタスなのだ。

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これはよしながふみきのう何食べた?」3巻のサッポロ一番の回。読むとサッポロ一番が食べたくなって悶絶する。

実家で買う袋ラーメンはずっと生協のオリジナル麺だった。生協には申し訳ないけれどいつも「これは本物ではない」と思っていた。「本物のラーメンではない」と思っていたんじゃない。「本物のインスタントラーメンではない」と思っていたのだ。胸のうちに燦然と輝く「本物のインスタントラーメン」それはサッポロ一番であった。
一人暮らしを始めて一番嬉しかったのは、インスタントラーメンをサッポロ一番にできたことだ。もちろん経済的理由により、生協オリジナル麺になったこともあったけれど。生協オリジナル麺は5個パックが198円、サッポロ一番は298円。若かりし日には少し勇気が要った。小さな勇気だが。
これくらいの贅沢は許されるだろう、これから我が家の定番はサッポロ一番とする!…と決めた時、ずいぶん大人になったような気がしたものだ。尚、味は味噌!

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そう言えば、よしもとばななの小説「ハゴロモ」の中に、主人公がふらふらと入ったラーメン屋がサッポロ一番を提供する店だったという下りがある。種類は塩とみそとミックスで値段は300円。
普通のラーメン屋だと思って入店した主人公が「も、もしかして、それはインスタントラーメンなんじゃない?どう見てもサッポロ一番なんじゃない?」と恐る恐る尋ねると、ラーメン屋の男の子はにこにこしながら答える。
「俺、いちばんおいしいラーメンって、この、サッポロ一番だと思うんですよ。それを証明したくて、趣味でラーメン屋やってんの」
こういうのもいいな。こういうお店があったらいいな、と思った。
もしも夜中に野菜のたっぷり入った美味しそうなサッポロ一番を、自分で作るのではなくて、誰かに作ってもらえたなら、それはどれほど幸福なことでしょう。

などと徒然に思いつつ、サッポロ一番を食べた土曜日の昼。
のんびりとした陽射し、裏の公園から聞こえてくる少年野球の声。
なんとサッポロ一番うってつけの日
やっぱ、サッポロ一番が真価を発揮するのは土曜の昼だな。学校から帰ってきて、家にサッポロ一番が待ってる感じがいいんだよ。それで友達との約束を思い出してちょっと気ぜわしく食べて家を飛び出すあの感じ。うちは生協だったけど、あれがサッポロ一番だったなら完璧な土曜日だった。そうして毎週のようにともちゃんの家に遊びに行ったんだった。

あれから四半世紀。
サッポロ一番を食べて、気忙しく着替えて美容院に行って、同窓会でともちゃんに会った。
完璧な土曜日だった。

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