ナニはともアレ
ずいぶん前のCMでサラリーマン二人が下のような会話をしているところにテロップで「アレリーマン」と出るのがあった。
A:あの映画みました?
B:あー、アレだろ、あの女優が出てる
A:そうそう、アレがアレする
あの当時ですら、友人たちと「わーかーるー!!」「じゃあ、私達はアレ子ね」「でもちょっとアレじゃない?」「そんなアレしなくていいわよ」などとアレな会話をアレしていたが、時が経つにつれ、更にアレが進んでアレな日々。
世間はアレだが、父方の祖母は「ナニ」である。
「みちこさん、ナニねえ」
「ナニですねえ、お義母さま」
そんな母と祖母の会話は、例え盗聴されていたって、誰にも内容はわかるまいが、ナニはともアレ、会話は続いていく。大人になるにつれ、私もナニな会話に加わることができるようになった。
「まめちゃん、これちょっとナニだわね、ナニしたら?」
「そうね、こういうのが一枚あるとナニね」
「おばあちゃんがナニしてあげるから」
「ありがとう。この後、ちょっとナニしない?」
「そうね、2階にナニがあるからコーヒーでもナニする?」
父方の祖母のナニはとってもフリーダム。なんでもかんでも全てがナニ。
けれど、母方の祖母は更にそれを上回るフリーダム。
元々あの人は口が達者できみまろの如く、「全ての道は老婆に通ず」だの「老婆は一日にして成らず」だのと調子よく喋る人なので、半分聞き流しつつ話を聞いているが、ある時会ったら、会話の端々に何かにつけて「インドメタシン」という単語が出てくる。
???インドメタシン???・・・と言いますと、あの、バンテリンとかが「インドメタシン配合!!」と力強く言うようなアレのこと?
不思議な顔で尋ねると、祖母は鼻をふくらませて得意気に言った。
「そう。ばあちゃん、アレはナニかなってずっと思ってたけど、最近知ったの!薬なんだってねえ。おかしな名前だよねえ。びっっっっっくりした。だからばあちゃん、決めたの。これからは「びっくり」ってことを「インドメタシン」て言おうって」
な!?なに?今なんて?ナニごと?びっくり=インドメタシン?
その発想がまさにインドメタシンなんですけど!!
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もはや「アレ」とか「ナニ」とかで曖昧に指し示してお互い分かり合う、という必要すらなくて、自分の言いたい単語を使いたいように使うっていう次元まで行っちゃったんだね、おばあちゃん。ホンットこの人すごいわ。インドメタシンだわ。
父方の祖母とのナニトークができるようになって、大人になったことを実感していたけれど、まだ甘かったんだな。最近本気で横文字がなかなか思い出せなくなってきたけど、思い出せないなら好きな言葉を使えばよかったんだな・・・。
トラボルタの名前が思い出せなくて一日中悶々としていた今日、ナニはともアレ、祖母の偉大さにインドメタシン。