90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

何も言っていない

お偉い方々の長々しいスピーチがあちこちで聞かれる季節。 私が学生の頃はもう、壇上に上る人上る人、皆口を揃えて「ベルリンの壁が崩壊し」「ソビエト連邦が崩壊し」「激動の時代を迎え」「激動の20世紀も終わりに近づき」「世間を震撼させたオウム真理教事…

春にして君を想う

去年の春の終わり、会社に電話がかかってきた。 昔、本当にものすごく好きで好きでたまらなかった人と同じ名字の人だった。 あの名字を聞くと、今更まだ動揺するのか、と苦笑してしまった。高校生なんて本当に多愛のないことで簡単に恋に落ちるものだから、…

狂気と芝居

もうずいぶん前に取り壊されてしまったが、昔、横浜駅西口のステラおばさんのクッキー屋の2階にキャメルと言う名の喫茶店があった。 大学の帰りにふらっと立ち寄ってコーヒーを注文したら隣の席のおばさんが何やら真剣に話し込んでいた。 「そんなこと言った…

長いものを巻いて

日本人で初めてネクタイをした人はジョン万次郎なんだそうだ。やるな、万次郎。今日は春一番が吹いて、ずいぶん暖かくなってきた。 そのうちすぐにクールビスが始まって、男の人がネクタイをしなくなる。 「ああ、もう、あれがないだけでどれだけ楽か!!」…

下の畑

ちょっと前にこすももさんが(id:jandy1969)「下ノ畑ニ居リマス - 山ノオト 食ノオト」という記事を書いていて、「ああ、その言い方素敵だなあ」と思った。私もここ最近、気持ちが下の畑に行っている。 そして下の畑で賢治よろしく、羅須地人協会ごっこをし…

優るあらめや

今日は、山友達のおじさんに連れられて田浦梅林~二子山へ。 赤い電車・京浜急行に乗って安針塚駅で下りた。塚山公園からの景色。目の前の海は東京湾で、眼下に横須賀の海上自衛隊の護衛艦が停泊している。 たくさんの船が忙しなく行き交う、この紺色の海を…

きみのいいところ

うちの課では、毎月月次レポートを課長に提出しなければいけないのだけれど、レポートを書くのが面倒くさくなった主任が言う。 「誰か、オレのレポート、佐村河内してくれる人ー!」 なるほど、佐村河内はそういう使い方ができるのね、とにやにやしてたけど…

花の咲く頃

高速道路の脇にたくさん植えられている夾竹桃は強い花で、原爆のあと75年は草木も生えないと言われた広島で一番先に花をつけたのだそうだ。 想像を絶するほどの恐ろしいことが起きて、たくさんの人が亡くなって、それでも季節がめぐり、花が咲いてくれた時、…

枕を高く

えんどう豆の上にねむったお姫さま作者: ハンス・クリスチャン・アンデルセン,ドロテー・ドウェンツェ,ウィルヘルムきくえ出版社/メーカー: 太平社発売日: 1985/01メディア: 大型本この商品を含むブログ (1件) を見る「布団の下にえんどう豆が敷いてあるもん…

善悪の彼岸

「乳、ピンク、下着、水着、ランジェリー、乳首」 そんな言葉が並ぶなんて卑猥なサイトに決まってる!!と早計な判断をしてしまいがちだが、これはNPO法人 J.POSH 日本乳がんピンクリボン運動のサイトに並ぶ単語たちだ。 そしておそらくこの単語故だろう。こ…

今ありて

夏の甲子園の大会歌「栄冠は君に輝く」はきっと大抵の人が知っているだろうと思うが、春のセンバツの大会歌「今ありて」は知らない人も多い。谷村新司作詞のこの曲は、こんな歌詞で始まる。 「新しい季節(とき)の始めに新しい人が集いて 頬そめる胸のたか…

自分、不器用ですから

黒合板グレープフルーツナイフ出版社/メーカー: TKGメディア: この商品を含むブログを見るこういう、細くて先の曲がったナイフらしきものを初めてみたのは、米兵と結婚して横須賀の海軍基地の中で暮らしていた叔母の家の台所だ。 これ何?と聞いたら「ああ、…

あたし時々おもうの

まだほんの子猫の頃から飼っていた猫が、ある日、人から預かった牡猫と恋に落ちて女になった。牡猫がいなくなってからの彼女は、しばらくの間、毎日窓の外を見つめては切なげな鳴き声をあげた。 それまでは、受験勉強をする私の横で鼻をすぴすぴ言わせながら…

これから

昨日からずっと決めていた。今日は鉛筆を買って帰ろうと。 ユニがいいかな、トンボがいいかな、ちょっと柔らかめがいいな。「鉛筆の名作、ユニ」 そんなコピーに惹かれて、ユニを買ってきた。 そしてずっとずっと待っている。これは4年前に高知に旅行に行っ…

The Big Bang Theory

今更、海外ドラマ「ビッグバン★セオリー」にハマっている。 不器用で純粋なオタク青年たちが可愛らしくて痛々しくて面白い。 コンプリート・ボックス (10枚組) [DVD]" title="ビッグバン★セオリー コンプリート・ボックス (10枚組) [DVD]">ビッグバン★セオリ…

想像の余地

「蟹座の女の子って~どこか少し大胆~♪」と広末涼子は歌っていた。 そして蟹座の占い師石井ゆかりはこう語る。 「誰よりも臆病なくせに、誰よりも、危険な場所につっこんでいく」 石井ゆかりによると、蟹座の嫌いなものは「単なる数字や、単なる物質。人の…

あたたかい夜に

むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。 ある、とても寒い雪の夜に、一人の旅人がやってきました。 「すみません。私は旅をしているものです。この吹雪では一夜を外で過ごすことが出来ません。」 おばあさんは快くその旅人を家…

1,2,3,たくさん

パソコンで西暦を入力する時、指がひっかかって2400年なんて打ってしまうと「ああ、その頃には死んでるな」といつもしみじみしていた。 しみじみするだけで済むならいいが、これが発注だと大変なことになる。【ミス?】Twitter誤発注まとめ【商法?】 - NAVER …

Tomorrow never knows

一人暮らし3年目くらいの、ある晴れたゴールデンウィークの午後、近所の大きな家の人がお庭でバーベキューを始めた。まるで外国映画みたいな大きなお家の広いお庭に響く笑い声。漂う肉の香り。あの頃、友人たちと何度も何度も「バーベキューやろうよ」とチャ…

玉虫色の言葉

野球好きの集まる2ちゃんねるの掲示板「なんJ」で使われる言葉に「どん語、どんコメ」と呼ばれるものがある。 どんコメ - なんでも実況J Wiki* 元阪神・オリックス監督を務めたどんでんこと岡田彰布監督のコメント。どん語とも呼ばれる。 ユーモア溢れる独特…

東風吹かば

下田で星を見て、熱海まで戻ってリゾートマンションに泊まった。帰りがてら、小田原の曽我梅林の梅まつりへ。会場で延々と流れ続けるのは「うめぼしのうた」 頭の中で延々とループするタイプの恐ろしいメロディ。桜色の梅と、紅い梅。香りは白い花の方が強い…

夜空ノムコウ

あれから僕たちは。中学生の頃、絶賛中二病だった私は、同じ団地の友人たちと示し合わせて夜中の2時に家を抜け出した。と言っても田舎町のことで、どこに行く宛もなく、近くの川にかかる橋の上のベンチに座って、缶のお汁粉を飲みながら夜明けまで話し込んだ…

走れウサギ

走れウサギ (上) (白水Uブックス (64))作者: ジョン・アップダイク,John Updike,宮本陽吉出版社/メーカー: 白水社発売日: 1984/01メディア: 新書購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (6件) を見る読んだこともない、この本が印象に残っているのは、…

寒くないか、ですって?

寒いに決まってる。 しかし、ファッションアイコン、ダイアナ妃はかつて冬でもコートを着ずに歩き、人から「寒くないか」と尋ねられた時にこう答えたという。 「寒くないか、ですって?いいえ、全然。私はダマールを着ているのよ」 Damart - Ladieswear, Men…

花の色は

十日前の大雪の時に買ったトルコ桔梗の、緑色の蕾がだんだん白く、そしてほんのりピンク色になって、ほころび始めている。トルコ桔梗は気まぐれで、蕾のまま枯れてしまうこともあれば、綺麗に色づかないこともあるらしい。 そんな気まぐれに振り回されてみる…

前略おふくろ様

うっかり電話したら佐村河内話に2時間て!!

Without you

日曜日、近所のおしゃれげホームセンターに土と種を買いに行った。雪かき用のスコップ争奪戦をすり抜けて売り場を見て歩いていたら、キッチンコーナーで不可思議な物を見つけた。 重い。広がる。でも何に使うの?「エクスパンダトリベット」と書いてあるけど…

ダメにする

今日の晩御飯。切り干し大根の煮物の残りの玉子焼き セロリとしめじと豚肉炒め(オイスターソースないからオタフクソースと中華味) わかめと油揚げとねぎのお味噌汁 納豆 ご飯納豆をかきまぜる時、いつも思い出すことがある。魯山人の事じゃない。魯山人は…

どれくらい

バナナスタンド好きな後輩ふみは、臆病なくせして、平気なフリで塀の上を歩いて行く埃まみれの野良猫みたいな子だ。 この例えはわかってもらえるだろうか。 うまく垣根の間をすり抜けていくようにも見えるけど、それなりに苦労もあるらしく毛並みは少し荒れ…

いとをかし

冬はつとめて。雪の降りたるはいふべきにもあらず。 霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、火などいそぎおこして、炭もてわたるもいとつきづきし。 清少納言「枕草子」 今日もまた雪で、先週存分に堪能したからもうそんなにはしゃがない、と思いつつも…