90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

地の塩

これは鎌倉の塩の道。 鎌倉時代、海から塩を運ぶために石を切通して道を作ったのだそうだ。大昔の技術で必死に岩を砕いて道を作らねばならぬほど、塩は必需品だったのだな。子供の頃、通っていた教会学校では聖書からの言葉をとった「聖句かるた」というのが…

人はなぜ

3月31日。 今日でいいともが終わった。年度も終わった。 明日から新年度。税金が上がる。そして保険証が更新となる。そう、このバタバタの年度末に、どういうワケか保険証の更新があり、4月1日から有効の新保険証が送られてきて、旧保険証は返却しなければな…

走れウサギ

走れウサギ (上) (白水Uブックス (64))作者: ジョン・アップダイク,John Updike,宮本陽吉出版社/メーカー: 白水社発売日: 1984/01メディア: 新書購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (6件) を見る読んだこともない、この本が印象に残っているのは、…

90億の神の御名

90億の神の御名 (ザ・ベスト・オブ・アーサー・C・クラーク 2) (ハヤカワ文庫SF)作者: アーサー・C・クラーク,中村融,岩郷重力+T.K,浅倉久志・他出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2009/07/30メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 19回この商品を含むブログ (1…

理想の書架

私の本棚には自分の好きな本ばかりが並んでいるけれど、時々本棚をぼんやり眺めながら思う。「自分が一番読みたい本が入っている本棚はこれじゃない」と。写真は2枚とも、実家の本棚。 夏休みに実家に行ったら、母が「うちの本はもう好きに持って行っていい…

人の楽しみ

週末の鬱金香(チューリップ) (中公文庫)作者: 田辺聖子出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1996/11メディア: 文庫購入: 1人 この商品を含むブログ (2件) を見るこの田辺聖子の短編小説集の中に「篝火草(シクラメン)の窓」という作品がある。線路沿いの家…

ドアのない家

初めて一人暮らしを始めたのは、ちょうど、酒鬼薔薇事件の頃で、犯人はまだ捕まっていなかった。まさか少年の犯罪だなんて誰も思っていなかった。 「犯人は関東に逃げてきている」という噂もあったし、古い木造のアパートはドアくらい簡単に蹴破られてしまい…

真っ白でいるよりも

近所のスーパー銭湯は元旦の早朝から営業していた。何も元旦から…と思ったけれど、「新年の一番湯に入りたい」という人たちで賑わうのだそうだ。 一番湯かあ…。私はちょっと苦手だなあ。もちろん一人暮らしだから、家で入浴する時は常に一番湯だけれど、銭湯…

大草原の大きな罠

元旦は安息日なもので、してはならないことが多いのです。 まず洗濯をしてはいけない。「服(福)を洗い流すから」 神様のサービスか、元旦は綺麗な日本晴になることが多い。ああ、こんなにいい天気なのに。こんな朝にお前を回せないなんて~、布団も干せな…

ほんとうに、やさしい

訪問者はみんな、自分としてはいちばんきれいに見えるようにつとめるのよ。女たちが、いちばんきれいなもんはなんでも、それこそ古いもんでも、ほんとうになさけなくなったもんでも、何もかも身につけようとするその気持、とてもやさしい、あったかいもんだ…

Do It Yourself

キリストの最期の7日間を題材にしたミュージカル「ジーザス・クライスト=スーパースター」の中で、群衆に「貧しいから助けてくれ」「歩けないから治してくれ」「目が見えないから治してくれ」と詰め寄られた若きジーザスはテンパって「自分で治せ!!」と叫…

子やぎ日和

おおかみと七ひきのこやぎ―グリム童話 (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)作者: グリム,フェリクス・ホフマン,せたていじ出版社/メーカー: 福音館書店発売日: 1967/04/01メディア: 大型本購入: 2人 クリック: 11回この商品を含むブログ (57件) を見る ある…

きのこ狩り

かねてより、紅葉狩り、ぶどう狩り、きのこ狩りだのという言葉を不可思議に思い、なぜ芋やレンコンは「芋掘り」「レンコン堀り」であって「狩り」にはならないのか、その差別性はどこから来るのかと考えていたが、こちらを読む限り、貴族様の楽しみから来て…

美しいものしか見まい

タイトルは立松和平のエッセイ集から拝借した。立松和平が法隆寺や沖縄など、日本のあちこちで見た美しいもの、美しさについて徒然に書いた文章だ。美しいものしか見まい作者: 立松和平出版社/メーカー: 恒文社21発売日: 2002/09メディア: 単行本この商品を…

朱に交わる

子供の頃、父親に何気なく「お前、友達は選べよ」と言われてずいぶん腹が立った覚えがある。しかし、今思うとあれは私の性格をよく知っていたのだな、と思わなくもない。 すぐに。本当にすーーーーーーーーーーーーーーーぐ人に影響されて、あれいいな、これ…

あとがきと解説

原田宗典が麻薬取締法違反で逮捕された、というニュースを見て、え!!と声をあげてしまった。小説家の原田宗典容疑者逮捕=覚せい剤と大麻所持容疑―警視庁 (時事通信) - Yahoo!ニュースとは言え、原田宗典の書いた本を読んだことはない。ただ、山田詠美の…

藤堂さんのマラカス

マンガ「エースをねらえ!」の中でいつも引っかかるのはこのシーン。 尾崎「藤堂、マラカス持ってたじゃないか」 藤堂「ああ、あれならひと月あれば楽におぼえられる」待って!お待ちになって! 藤堂さん!何故マラカスを?そしてマラカスというのは覚えるの…

絵のような女

ルノアルの絵が好きな男がいた。 その男がある女に恋をした。 その女は、他人の眼からは、どうにも美人とは思われないような女であったが、どこかしら、ルノアルの描くあるタイプの女に似たところはあったのだそうである。 俳句をやらない人には、到底解する…

きのこにまつわるエトセトラ

専門的な物事について書かれた文章というのは往々にして、専門外の者にとって非常にシュールに感じられるものだが、なかでもきのこに関する文章のシュールさは群を抜いているのではないかと思う。 そしてそう思ってしまった時点で、きのこは既に私の脳内で繁…

夜明けの色

スポーツについて、いつもとても愛情深い記事を書いている薫さんの「風が強く吹いている - 風が薫るとき」という記事と、その記事のコメント欄でくみちょうさん (id:Strawberry-parfait)に力強くお薦めして頂いたことから、三浦しをんの「風が強く吹いている…

夏に読みたい100冊

はてなさんの今週のお題は「夏に読みたい1冊」との事ですが (もう月曜なので、間に合ってない感じがものすごくするけれど) 夏になると一番読みたいのは、新潮文庫や角川文庫なんかから出されている「夏に読みたい100冊」というような小冊子だ。 毎年毎年、…

未知との遭遇

はてなさんがブログを電子書籍にするらしく、おかげさまで準備号に、私が以前書いた「何も足さない。何も引かない。」という記事を載せて頂きました。ブログを電子書籍にしたらどのくらい楽しいだろう? という実験をしてみることにしました。『電書はてなブ…

そうか君はもういないのか

「生きてる作家の本は読まない?」 「生きてる作家になんてなんの価値もないよ。」 「何故?」 「死んだ人間に対しては大抵のことが許せそうな気がするんだな。」 村上春樹「風の歌を聴け」 好きな作家(文章に限らず全ての)は、初めて出会った時にはもうこ…

とんだそら豆

さっきから携帯にそら豆のメールばかり入ってきて、少し気が滅入っている。 母から家族全員に「知人から大量にそら豆をもらったから取りにきて」とメールが送られ、「雨で出歩きたくないので私はいらない」と答えれば、弟や嫁達が気をつかって「届けましょう…

クリームパンについて語るときに僕の語ること

村上春樹はヤクルトスワローズファンで尚且つ土橋のファンだったそうだ。ああいう玄人気質の選手が好きなんだな、わかる気がする。そして、守備ではおそらく内野の司令塔、セカンドが好きなのだと思う。文章の中に時々二塁手が登場するのだ。「1Q84」の中に…

ロシアより愛をこめて

向こうも「日本人てわかんねーな」と思ってはいるだろうが、「ロシアって謎・・・」と思ってしまうのは、こんなニュースを見た時とか。何も1600人も死ぬことないじゃない。記録的猛暑のロシアでウォッカ飲んで行水、事故も多発 | 世界のこぼれ話 | Reutersそれ…

運命

この前お花見バスツアーに行って、初めて新東名を通った際に、海岸線の平野部を眺めながら前の席のおじさんが言った。 「津波が来たら逃げようがないよなあ」心の中で同じ事を思っていた。 あの大きな地震の後では、誰でも皆、海岸線を見る度に、そしてあち…

お茶と宇宙と英国と

ずいぶん前に下のツイートが回ってきて、ほう、と思った。英国人が書いたお茶に関する本に、英国、中国、日本のお茶についての記述があり、日本だけおかしかった。英国はお茶を入れる温度や一緒に食べるケーキ、中国もおいしい淹れ方にこだわる。だが日本人…

きれいな何か

「みっちゃーん 山の上の方、夕日があたってキレイ。 あのキレイなとこ 手ぇあわせておねがいしとこ」これは私の小さい頃からのクセ きれいな所にはきれいな何かがあって、 そこにお祈りをするときっと少しだけ物事が良くなる 「パーマネント野ばら」西原理…