90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

旅・散歩

太陽を追いかけて

週末、星を見ようと福島に出かけたけれど、雨が降って星は見えなかった。翌日、那須に寄って、水車の回るちょっとすてきなお店で名物だというすいとんを食べて帰路に。帰り際立ち寄った那須塩原の道の駅では、おじさんがギターをかき鳴らして心細げな高い声…

You Can't Always Get What You Want

もう一度星を見に行こうと、新月の日程もきちんと調べた上で、夏に行った浄土平再訪を決めたのに。 1週間前から、神様にもずいぶんお願いしておいたのに。やっぱり雨で星は見えなかった。どうしていつもこうなんだろう。どうして神様はこんな意地悪をするの。…

ホテルをめぐる冒険

「なかなか良さそうなホテルじゃない」と彼女は言った。 「良さそうなホテル?」と僕は聞き返した。 「こぢんまりとしていて、余計なものもなさそうだし」 「余計なもの」と僕は言った。「君の言う余計なものというのはしみのついてないシーツとか、水が漏ら…

青い影

だんだんいろんなものについていけなくなってきた。 流行りすたりや世の中の話題にも、政治や何やかやの難しい話にも。春先に自転車を買って、久しぶりに乗ったら、そのスピードに気持ちがついていけなくて、怖くて驚いた。こんな乗り物だったっけ。ようやく…

海を見ていた午後

ここ最近では、高校野球と青春18切符に追われ、おまけに暑いこともあって全然山に行っていなかった。それでリハビリも兼ねて、山友達のおじさんとお姉さんにハイキングに連れて行ってもらった。コースは金沢文庫から鎌倉天園を通って鎌倉駅。距離は長いけれ…

星に願いを

毎年、お盆の頃には友人と花火を見に行く。あんまり混んでなさそうな花火大会を探してドライブがてら伊豆高原や熱海や焼津なんかに行っていた。 今年はちょっと時間もあるから遠出しようかと、諏訪湖の花火大会を検討したけれど混雑が激しそうなのであきらめ…

とっぱずれ

青春18切符の旅、第2弾で銚子に行ってきた。行きは成田線経由、帰りは総武線。 犬吠埼灯台の資料館で知ったのだが、江戸時代の豪商の古帳庵という人が「ほととぎす銚子は国のとっぱずれ」という句を詠んでいるそうだ。とっぱずれという単語には東の端という…

ものすごくまずいお土産

私の直属の上司である主任は、学生時代からずっと休みのたびにバックパッカーになって海外を旅している人だ。 入社したばかりの夏休み前、バックパッカーの旅の話を聞いて「へえ、すごい!いいじゃないですか!じゃあ、お土産を楽しみにしていますね!」と言…

釜めしを買いに

7月頭に釜めしの記事を書いたら、釜めしが食べたくて仕方なくなった。東京駅で販売しているという事までは調べたが、どうにも体調がすぐれず、買いに行けなかった。 それで、奈良旅行の折、私は新横浜から新幹線に乗るのだけれど友人は東京駅からなので「釜…

遠くへ

今日では、どのような旅行も、到達すべき目標や知り合うべき人びとといった準拠を持つ以上に、連続的な軌道上の純粋な移動、いわば乗り換え=トランジットに還元されつつある。われわれはこの旅ならぬトランジットのくり返しのなかで、属領性のひそかな喪失…

そうめん狂騒曲

あれはまだこの世に流水麺がなかった頃。遅番勤務を終えて23時近い電車に揺られながら、頭の中はそうめんでいっぱいだった。 「ああ、そうめん食べたい。今すぐ食べたい。でも、そうめんてファミレスにないもんな・・・。茹でる?今から?薬味も買って?なん…

遠いジャスコ

埼玉に住んでいた頃、近所に宮岡昇という歌人が住んでいて、母が彼の主宰する短歌の会に入っていた。 「山の麓でぶどう園を営む地主のおじさん」としか思っていなかったのに、角川短歌賞を受賞していて、本も何冊か出していると聞いて驚いた。今、短歌とは―…

股旅メモ・奈良最終日

帰って参りました。 最終日は修学旅行っぽい所へ。 東大寺で、「ねえアナタ、お煎餅はお持ち?」と鹿に見つめられながら大仏様を見に行ったり。聖武天皇の時代に疫病やら飢饉やら地震やらが起きたので建てたらしい大仏様。今とあんまり変わんないね、また大…

股旅メモ・奈良2日目

奈良旅行2日目。 まずは西吉野へ。「これ登れんのかよ」「うわ、こっえー!てか、マジでこの先何かあんの?」とため息をつく友人をなだめすかして、細い山道を車で登ってもらい、映画「萌の朱雀」ロケ地へ。 みちるの家。緑の濃い山々に遠雷が響く。隣にある…

股旅メモ・奈良1日目

奈良旅行1日目。 新幹線で昼に京都着。京都を見ないのももったいないかとも思いつつ、レンタカーで奈良へ。奈良駅観光案内所でドヤ顔のせんとさんに遭遇。そうか、君のホームであったか。薬師寺と唐招提寺へ。 新しく建て替えられた大講堂の姿は、まるでNHK…

いい日旅立ち

高校時代の友人たちと、二十歳くらいの頃から毎年のように旅をしていた。 当初、それは「宛のない旅」で取り敢えず集まってから、「どこ行く?」「西?」「国道1号を終わりまで行ってみようぜ」と無謀に車を走らせていた。お金がないから全部下道で、宿もと…

横川にあるおぎのやの釜めし。あれに思い入れのある人は相当数いるだろう。 私とて、若かりし日、あの釜めしを横目に横川から軽井沢までバスに乗ったな、とか、そう言えば横川のSAで夕飯を釜めしにするか否か友人と議論したな、とか、マンガ「頭文字D」で池…

エデンの園

職場の若くてカッコいい女の子が言っていた。 「たまになんだけどさあ、休みの日、朝の開店時刻からスーパー銭湯行って、風呂入ったり岩盤浴したり、昼寝して、ビール飲んでまた岩盤浴行って、みたいな感じで閉店までだらだらしちゃうの、すごい気持ちいいん…

ZOO

夕方の予定まで少し時間があったので、野毛山動物園に行ってきた。ここは横浜市立の動物園で入場無料なので、気が向いたらふらっと立ち寄ることができる。もっとも、一生懸命坂道を登らないとたどり着かないのだけれど。 入場無料のおかげで、子供の頃から何…

エキゾチック・ジャパン

梅の花が咲き出す頃、江の島に遊びに行ってきた。久々の江の島。けれど見たかったものはサムエル・コッキング苑でも岩屋の洞窟でもない。島中にいる猫たち、そして土産物屋に並ぶ海亀の剥製だ。 あの海亀の剥製。買っている人を見たことがない。部屋に飾って…

約束

今週のお題「お花見」 有給をとって友達とお花見バスツアーに行ってきた。 三島大社、富士山浅間大社、身延山という、去年と全く同じコース。 桜にはちょっと遅い季節だし、あいにくの雨だったけれど、三島大社についたら随分小降りでこれもまた風情があって…

夜桜

昨日は会社帰りに同僚と千鳥ヶ淵の桜を見に行ってきた。 大昔から「千鳥ヶ淵の桜」は毎年のようにニュースでも話題にされ、絵はがきや図鑑にもその写真が載っていたけれど、実際に行ってみたのは去年が初めてで、まるで日本に初めてきた外国人のように「ビュ…

想定外

東名高速道路の御殿場IC付近で事故が多いのは富士山が綺麗に見えるせいだと、以前テレビで言っていた。 みんな富士山の美しさについつい余所見をして事故ってしまうのだそうだ。 そりゃ、富士山が見えたら嬉しいし綺麗だものね、わかるわー。 と疑いもなく信…

旅の始まり

学生時代の友達と時々、行く宛のない旅をしていた。 行き先は会ってから決める。曲がりたい曲がり角を曲がる。ずっと下道。 いつからか、行き先を決めるようになって、高速を使うようになった。 「時間を金で買うんだ」と言って。 少し残念だけど、不慣れな…

うわばみ

子供の頃、海水浴や遠足で何度も片瀬の海岸に来たけど、江の島へはあまり行かなかった気がする。 そうしていつも江の島は右側、辻堂側からばかり見ていた気がする。 山の上から見るときも、海岸線から見るときも、箱根駅伝で見るときも大抵辻堂の方から江の…

座れば牡丹

鎌倉は今の時期、牡丹が見頃だと、人に言われたけれど、考えて見れば今まで花札以外で牡丹の花を見たことがなく、頭に浮かぶのは、あのキャベツみたいな葉牡丹だけだった。美人を表す言葉で「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」というのがあるけれ…

大和魂

有給をとって久々に鎌倉に来た。 東慶寺の梅はまだ早かったみたい。 どこもかしこもあれこれ計算された美しいお庭。 こういう景色を見るたびに外人さんに力いっぱい自慢したくなる。 どうだ、すごいだろう、美しいだろう、これが私の国なんだと。