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90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

ごはん

千夜一夜物語

あれはリーマンショックの頃。 人生初の転職活動に勤しむも、ことごとくお断りされて泣いたり落ち込んだり生活の不安に怯えながら、その不安を振り払うかのように私は保存食作りに夢中でありました。 こんな本も買い込んで。季節の保存食―いちごジャムから梅…

春のパンまつり

北斗の拳風に言うなら199X年、私たちはお気楽な田舎の学生で、友達の運転する軽自動車にぎゅうぎゅうに乗り込んでglobeなんかを大音量でかけながら農道を疾走し、夜中のすかいらーくガーデンズでお代わり自由のパンを何度も何度もおかわりして、「笑う犬の冒…

我以外皆我師

昭和の校長先生たちはしょっちゅう、このタイトルに使った言葉を朝礼などで口にしたものだ。私もご多分に漏れず、小学校の朝礼で校長先生に言われた。 それにしても、いまだに覚えているということは、校長先生のお話はそれなりに影響力のあるものなのだな、…

想像力より高く

寺山修司が「どんな鳥も想像力より高く飛べる鳥はいない」という一方でバイロンは「事実は小説よりも奇なり」と言うし、大江健三郎は「読書による経験は、言葉の正統なる意味あいにおいて、経験であるのか、読書によって 訓練された想像力は、現実への想像力…

おなかいっぱい

私が学生だった頃、母が地元の歌人のおじいさん(通称:ノボル)から短歌を習っていた。短歌の会合の後でノボルとどこかでお茶をしたり、ご飯を食べたりして帰ってくると母は必ず憂鬱そうに溜息をついて言ったものだ。 「ノボルも他のおじいさん達も絶対に自…

鮭とアラマキの日々

憶えているのは、いつの間にか夏休みが始まっていたということと、母が眠っている間、小学一年生だった私はおなかがすくと缶詰のシャケを食べていたということだ。どうしてうちの戸棚には、シャケ缶ばかりあったのだろう。缶詰のラベルに描いてあるシャケの…

ゴッサン

世間では「マッサン」というドラマが流行していたようですが、あのタイトルを耳にする度に思い出す女の子がいた。 その名はごっさん。 前の職場にいた素敵な女の子だ。時々女子の集団の中にはファッションリーダー的な女の子が現れる。それは大概の場合、名…

一緒に食べよう

2月の終わり、学生時代の友人ヤマダから突然メールが来た。 「突然ですがシュラスコ食べませんか。旧交を温めたいのもありますが、とにかく肉が食べたいのです」 ・・・「ご臨席賜ればギャツビーの栄誉、これにすぎるところはない。ジェイ・ギャツビー」という…

地の塩

これは鎌倉の塩の道。 鎌倉時代、海から塩を運ぶために石を切通して道を作ったのだそうだ。大昔の技術で必死に岩を砕いて道を作らねばならぬほど、塩は必需品だったのだな。子供の頃、通っていた教会学校では聖書からの言葉をとった「聖句かるた」というのが…

ねずみ色のお粥

一昔前の旭化成のジップロックのCMがいまだに印象深くて、冷蔵庫掃除をするときには必ず思い出す。 考古学っぽい博士と研究者が冷蔵庫を漁りながらやりとりするのだ。 「このアジの開き、化石化している」 「博士!この豚肉、日付が昭和です」 「素晴らしい・…

柘榴・馬鈴薯・蕎麦・そして絵画

子どもの頃、ある日突然父親が不思議な果物を一つだけ持って帰ってきた。丸くて、茶色くて、裂け目を覗くとまるで歯のようにルビー色の粒々が並んでいる。 柘榴を見たのはそれが初めてだった。 「おいしいねえ!」と食べていたら、父親が「この果物を使った…

備えよ常に

肩こりがあんまりにひどいものだから12月は何度か整体に行ったのだけれど、そこの先生が不穏な事を言う。「人間の体ってのはねえ、不測の事態に備えて、とかく蓄えがちなんだよね。しかも蓄え分から使えばいいのに、常に新しいものから使ってっちゃうからさ…

とろみちゃんとマロニーちゃん

むかしむかしあるところに、あんかけの苦手なおひめさま(自称)がおりました。 おひめさまが子供の頃、読んだ本にはこんな囃し言葉が書かれていました。 「勝ったら官軍、負けたらあんかけ!」 どうやらその子ども達にはあんかけはすこぶる不評なようで、「…

秋のマストバイ☆

お久しぶりでございます。すっかり月刊となってしまいました。月刊すら危うい状況でしたが、折に触れて連絡を下さった、おにいさん(id:tk1969) こみちさん(id:kazenokomichi) くみちょうさん(id:Strawberry-parfait) okkoさん(id:okko326)ありがとう…

悩みはイバラのように

子供の頃はこんな事で悩みやしなかった。しかし、大人になってから突如発生する悩みというものがある。ねむり姫 澁澤龍彦コレクション (河出文庫)作者: 澁澤龍彦出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2013/02/15メディア: Kindle版この商品を含むブログを見…

なんでも食べてやろう

きのこの食べ方 - 90億の神の御名昨年の秋、つい出来心できのこ中毒にかかった人の食べ方を調べてしまい、老人たちの繰り出す「ゴルフ場に生えていた」「自宅の庭に生えていた」「種類はわからないが食べてみた」というものすごい冒険心にひどく打ちのめされ…

Tomorrow never knows

一人暮らし3年目くらいの、ある晴れたゴールデンウィークの午後、近所の大きな家の人がお庭でバーベキューを始めた。まるで外国映画みたいな大きなお家の広いお庭に響く笑い声。漂う肉の香り。あの頃、友人たちと何度も何度も「バーベキューやろうよ」とチャ…

Without you

日曜日、近所のおしゃれげホームセンターに土と種を買いに行った。雪かき用のスコップ争奪戦をすり抜けて売り場を見て歩いていたら、キッチンコーナーで不可思議な物を見つけた。 重い。広がる。でも何に使うの?「エクスパンダトリベット」と書いてあるけど…

ダメにする

今日の晩御飯。切り干し大根の煮物の残りの玉子焼き セロリとしめじと豚肉炒め(オイスターソースないからオタフクソースと中華味) わかめと油揚げとねぎのお味噌汁 納豆 ご飯納豆をかきまぜる時、いつも思い出すことがある。魯山人の事じゃない。魯山人は…

ごちそうさま

先月末、小林カツ代が亡くなった。料理研究家・小林カツ代さん死去「私のレシピは永遠に残るのが嬉しい」 (スポニチアネックス) - Yahoo!ニュースよそんちの肉じゃが - 90億の神の御名 前の記事でも書いたけれど、カツ代レシピのご飯を作る度にいつも、「…

注文の多い料理店

「注文の多い料理店」と言えば間違いなくSUBWAY。あのサンドイッチ屋に入った事がない方もいらっしゃるかもしれませんが、とにもかくにも面倒くさい店なのだ。メニューの中から「コレ」と選んで注文するも、やれパンはどれにするだの、ドレッシングはどうす…

冷静と情熱のあいだ

日曜の同窓会ではミルフィーユ鍋が出た。 みんなが「あー!小栗くんのCMやってるよねー」なんて言ってた。 ああ、そうなの。この鍋じたいは前からあったはずなのに、最近流行しているようだなと思っていたら、そういうわけか! でもこれおいしいな。それで月…

寝食忘れじ

こんなつもりじゃなかった。 年末の掃除はまあ、そこそこでいいやと思っていた。 そこそこ片付けてさ、お花飾ってさ、年末は読書に明け暮れて、年始は駅伝三昧で、おいしいコーヒー淹れてのんびりとさ。そう思っていたのに、昨日何かの妖怪が通りすがりに私…

Fat Bottomed Girls

給食のアルマイトのお皿の上にしどけなく横たわるいかめしを見て、多感な年頃のわたくしはドギマギしておりました。 おおお、なんとむちむちセクシーバディ。いかめしってとってもボディコンシャス。鼻血が出そう。だから、俵万智が「サラダ記念日」の中で「…

情熱の視覚化

何度も何度も頭の中で想像を重ねたので、まるで現実にこの目で見てきたような気持ちになっている場面がある。 それは「今日安心して河豚が食べられるようになるまでの軌跡」だ。なにやら「プロジェクトX」風だが、昔の人にとっては正に命がけで取り組むプロ…

おでん戦記

平成二十五年十一月十日、生協のおでんだねセット「ほっかほっかおでん」を主力とする練り物類、こんにゃく、神奈川上飯田の葉付き大根まるまる一本、シャウエッセン、我が家の台所土鍋前に集結。 大根の消費と、おでんというユートピア獲得に向けた作戦行動…

サッポロ一番にうってつけの日

土曜は同窓会があったので、夜はどうせ豪華ごはんなんだから、昼間はラーメンでいいや、とサッポロ一番を作った。まあ、作ったと言う程のものじゃないけど。今の時代、生麺に近づけた!とかなんとか言って、高級インスタントラーメンが世を賑わせたりしてい…

きのこの食べ方

【ツキヨタケ】2008年9月、男性会社員(69)は山にきのこ狩りに行き、ツキヨタケを採取。翌日午前9時、玉子と炒めてパンに挟んで妻(57)と一緒に食べたところ、まもなく激しい嘔吐や腹痛に見舞われた。 山と渓谷社「きのこる」堀博美— kinoko.bot (@bot_kin…

おいしい生活

ここ最近食べたものについて。妙義山の道の駅にすごい椎茸が売られていた。アメリカサイズのバーガーキングのバンズみたいな、直径20cm厚さ3cmくらいの巨大な椎茸。 なんという椎茸!と圧倒されつつ、巨大椎茸には手を出さず、手頃サイズの椎茸を買った。そ…

偉業の母

かつて、同僚たちと二ヶ月に一回くらいの頻度で「世界のご飯を食べよう会」を開催していた。和食、中華、イタリアン、韓国、タイ、スペイン…順調に続いたこの会が廃れたのはひとえにペルー料理のせいだと思われる。「えー、ペルー料理ってどんなだろうねえ」…

この広い土鍋いっぱい

何も一人暮らしでこんなに鍋一杯のおでんを作らなくても…と毎回少しの不安と、そして喜びを胸におでんを作る。この前、篭ノ登山に行った帰り、妙義山の近くで玉こんにゃくを買ってきた。群馬と言えばこんにゃくだものね。それで帰宅するなり、すぐにおでんを…

よそんちの肉じゃが

実家の肉じゃがは、恥ずかしながら豚肉で、何故か竹輪も入っており、そして肉より玉ねぎの方が多くて甘い。思春期の弟は母に冷たく言ったものだ。「お母さんの肉じゃがは、「肉じゃが」じゃねえよ!「玉じゃが」だろ!」 母は答えた。「ちくじゃがです!!」…

コロッケと嵐

台風が近づくと、インターネット上がコロッケコロッケと騒ぎ出す。理由は下記の通り。意外と古い 『今日は台風だからコロッケな!』 の由来とは - NAVER まとめ子どもの頃、親の知人の家で台風を迎えた。「この後、停電するから」とおばさんは張り切っておに…

好むと好まざると

父方の親戚筋はみんな広島で、お墓も広島にある。広島のお墓の怖い所はほぼ全ての墓石に「○○ 5歳 昭和20年8月6日」などと、原爆で亡くなった方の名前がずらっと並んでいるところだ。一つの墓石に同じ日に亡くなった名前が2つも3つも刻まれているのを、顔を強…

許されざる者

社員食堂は少ない予算でやりくりをしているのか、時折どこの母親だ、と思うような独創的な汁物を出してくる。例えばミニ高野どうふのお吸い物だとか、ミックスベジタブルのコンソメスープだとか。 そんな汁物がついてくるたびに、先輩は憂鬱そうに箸でお椀を…

みんなとおなじ

田舎に帰省してた友人のタキコが帰ってきて、居酒屋で冷奴つつきながら言う。 「帰りにな、母ちゃんがいっつも弁当持たせてくれるんよ。母ちゃんの弁当、茶色くて、昔はあれが嫌で嫌で仕方なくて、やめてくれって散々母ちゃんに言ってたんだけど、今食べると…

驕れる者は久しからず

ことわざか何か知らないが、祖母はしょっちゅう「お米とお茶は一度いい物を食べたらもう元には戻れないからね」と言っていた。だから、あんまり贅沢に慣れてはいけないと。 ちょっとご馳走を作ったり、頂き物のお菓子なんぞを出そうものなら、祖母は嬉しそう…

釜めしを買いに

7月頭に釜めしの記事を書いたら、釜めしが食べたくて仕方なくなった。東京駅で販売しているという事までは調べたが、どうにも体調がすぐれず、買いに行けなかった。 それで、奈良旅行の折、私は新横浜から新幹線に乗るのだけれど友人は東京駅からなので「釜…

美味しうございました

京都の営業さんが阿闍梨餅を手土産に本社に来てくれた。これ、大好き。この前、奈良の帰りにも買おうかと思ったけれど、大人気なのか「本日分は売り切れ」になっていた。 なんてもちもち!美味しさのあまり、食べ終わってから浮かれて「おいしゅうございまし…

そうめん狂騒曲

あれはまだこの世に流水麺がなかった頃。遅番勤務を終えて23時近い電車に揺られながら、頭の中はそうめんでいっぱいだった。 「ああ、そうめん食べたい。今すぐ食べたい。でも、そうめんてファミレスにないもんな・・・。茹でる?今から?薬味も買って?なん…

羊をめぐる冒険

ジンギスカン屋には変わった名前が多い。 という事に初めて気が付いたのは、以前、職場の同僚たちと「ジンギスカンが食べたい!」と血眼で店を探した時だ。 ぐるなびにずらっと並ぶ店舗一覧を見ながら、あれがいい、これがいいときゃあきゃあはしゃぐ女子達…

増殖の恐れ

聖書では「生めよ、ふえよ、地に満ちよ」と言うけれど、増えることは果たしてそんなに良いことなのでしょうか・・・。 ディズニーの「ファンタジア」の中で増え続けるほうきなんて、恐ろしくて恐ろしくてトラウマになっているというのに。久々に見ても、ぞっと…

汝自身を知れ

「汝自身を知れ」 これはアポロン神殿の入口に刻まれた古代ギリシアの格言だそうだ。私もどこかに刻んでおきたい・・・。何故、人は、自分自身の事でさえうっかりすっかり忘れてしまうのでしょうね。例えば、海外旅行先で浮かれはしゃいでシュノーケリングしよ…

何も足さない。何も引かない。

「変わったものを見かけたら必ず食べてみる」とか「新商品は必ず試してみる」という人は結構いると思う。 友人の中にも、旅行で見かける度に「わさびラムネ」やら「くらげアイス」「イカ墨ソフトクリーム」などを嬉々として購入する者がいる。そして一口食べ…

思い出の中のごはん

毎日モノスヤさんのブログを楽しみにしているのだけれど、不思議なことにあのブログにはいつも、自分がここ数日食べたい、食べたいと思っていたものがタイムリーに登場する。 それから、無意識に食べたいと思っていたものも。 この前は春菊のスープが登場し…

春の悩みと言えば、花粉症と菜の花。 菜の花のおひたしや辛子和えがとても好きなのだけれど、あの旬の野菜は出始めから出終わりまで一貫して一束258円だ。 それを上回ることはあっても下回ることはない。少なくとも私は258円以下の菜の花を見たことがない。…

ライスカレー

高校生の頃、昼休みには部室で、誰かが粗大ゴミから拾ってきたテレビを見ていた。 テレホンショッキングから「金子信雄の楽しい夕食」というのがお決まりのパターンであり、誰もその流れに異議を唱える者はいなかった。 見どころはもちろん、信雄がどんどん…

旅の始まり

学生時代の友達と時々、行く宛のない旅をしていた。 行き先は会ってから決める。曲がりたい曲がり角を曲がる。ずっと下道。 いつからか、行き先を決めるようになって、高速を使うようになった。 「時間を金で買うんだ」と言って。 少し残念だけど、不慣れな…

ガラスの仮面

女に生まれて 喜んでくれたのは菓子屋とドレス屋と女衒と女たらし ・・・と中島みゆきは歌っていた。 特にそれらに喜ばれた覚えはないけれど、女に生まれてちょっと不便なのは あまり大きな声で「立ち食いそばが好き」と言えない所。そりゃ、立ち食いじゃな…

イノセンス

熊本に出張に行っていた父が、立派なケースに入ったあまおうをおみやげに買って来てくれた。 「あかくてまるくておおきくてうまい。だから“あまおう”って言うんだよ」 「俺が採ったいちごなんだよ」と得意げに言う父の無邪気さに ああ、この人はきっと五歳児…